素直に
「ええ」


 と答える。


 語学は確かに難しい。


 英語のように十代前半で教われば、かなり身に付くのだが、僕たちのようにドイツ語を十八歳で勉強し始めるのはちょっと遅かった。


 だけど、言語脳はちゃんと働くのである。


 僕も常に感じていたし、慧子も心中で密かに思っていたのは、語学そのものはいくらでも伸びるということだった。


 大学で日本語と英語、それに第二外国語まで並行して勉強するのはとても困難なようで、実はそこまで厳しいわけじゃない。


 上原教授が、


「君たちはまだ若いんだから、しっかり勉強しなさい」


 と言って、励ましてくれる。


 上原先生の学生時代はパソコンなどなかったし、論文も手書きらしかった。


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