素直に
 現代という時代は、作家も副業をしないと本業オンリーじゃ食べていけない。


 僕もそういった客員教授の作家の話を聞いたことがある。


 あちらは仕入れた知識を切り売りしていて俄然(がぜん)面白いのだし、僕も慧子もそういった人がしている講義が実に興味深いのが分かっていた。


 普段はパソコンのキーを叩いたり、マウスを弄ったりしている人たちが、大学というアカデミーに来ると、とても楽しい話をしたがるのは知っている。


 それに大概、その手の講義は喋ったことを試験で書けば単位が来る。


 大学でも単位が取りやすい授業とそうじゃない授業じゃ、大違いだ。
 

 僕たちは毎年四月頭の科目登録の際はシラバスを見て、単位が来やすい授業を選んでいた。


 もちろん専門科目には綾邊のような日雇い学者の授業もあるのが実際のところなのだが……。


 揃って学食に入っていく。


 出入り口で食券を買って、受付カウンターで差し出す。


 学食のラーメンは美味しい。
< 54 / 204 >

この作品をシェア

pagetop