素直に
 食べ盛りの僕たちにとって、食事は大切なのだった。


 ちゃんと栄養を付けないと、やれる研究もやれないのだし。


 それに直(じき)に十月になれば秋が深まり、幾分寒くなって、いい季節となるのだから……。


 僕たちは研究に没頭する。


 毎日朝から晩まで文献を読んだり、パソコンを見たりするのが疲れるのは承知で。


 その日、僕と慧子はラーメンを食べ終わり、一緒にキャンパスを出て、互いのマンションへと帰った。


 十月に入り、気温が下がり始めた頃、僕たちは秋が深まり行くのを感じながら、大学に通う。


 もちろん綾邊のやるドイツ語原典講読など、面白くも何ともないような授業も受け続けながら……。
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