素直に
 僕自身、上原先生はここ秋光大で出会えた一番素晴らしい教員だ。


 教授と学生という垣根を乗り越えて、互いに話し合えた。


 その日もオフィスアワーに僕は上原先生のお部屋でいろいろと話し込む。


 僕はブラックでホットの缶コーヒーを一缶持ってきていて、それを飲みながら話す。


 確かに大学の教授ともなると、学識は凄い。


 大概、上原先生は専門領域外のことにも相当詳しいのだ。


 教養はかなり深かった。


 僕が考えている以上に。


 接していて分かることが多い。


 相手がどのぐらいの知識と思考力、それに論理的な頭脳を持っているかが。


 僕もドイツ語を勉強し始めてから、もう三年になる。


 先生と対等に話すことが出来るぐらいにはなっていた。


 相手が現役の大学の教員でも、僕は普段から相当ドイツ語関連の文献を読み進めている
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