素直に
 と言い、残っているのがコーヒーだけとなった。


 慧子がバッグから院の過去問の載っている冊子を取り出し、


「大体パターンが決まってるわね。英語も専門も」


 と言う。


 彼女はすでに一年以上先を見据えて、勉強している。


 僕も乗り遅れまいと、


「ちょっと問題見せて」


 と言い、いきなり解かずに、パラパラッと解答が載っている末尾まで捲り、先に模範解答を覚え込んだ。


 確かに現時点で大学院進学を考えているのは、上原ゼミでは今のところ、僕たち二人と棚原ぐらいで、後は就職するつもりで就活しているらしい。


 院まで行くにはお金が掛かる。


 授業料と生活費は奨学金でギリギリ賄(まかな)えるぐらいだった。


 僕も慧子もしっかりと元を取るぐらいまで勉強して、学位を取得すれば、大学に残るつ
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