素直に
 カフェから歩いて十分の、同じ学内に食堂が一つあって、外から中の様子が見える。


 やはり夕食時の学食は込んでいた。


 皆が並んで待っている。


 僕たちも出入り口で定食の食券を一枚ずつ買い、列に並んだ。


 そんな風にして何気なく学生生活を送っている僕に、ある女性が近付いてくる。


 若い男のエキスが欲しいと願っている、准教授(じゅんきょうじゅ)の青沼佳久子(かくこ)という女性教員だった。


 僕も思わぬトラブルに巻き込まれることになる。


 上手くいっている慧子との関係に亀裂が生じるんじゃないかと思えるような……。


 佳久子は四十代で独身だったので、僕ぐらいの男性と絡みたいと頻りに思っているらしく、その日から数日後の十月中旬、僕を准教授室に呼びつけた。


 まるで変なAVみたいなことが起き始めたのだ。


 僕が無理やり佳久子から絡まされる形で……。

 
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