素直に
 しばらく絡まされ、やがてどちらからともなく達した。


 佳久子は幾分息を荒くしながらも、余韻には浸(ひた)らずに、すぐに着衣する。


 そして、


「川島さんとあたし、どっちがいい?」


 と意地の悪い質問をしてきた。


「……」


 僕は一切の言葉を失っていた。


 黙り込んだままでいると、佳久子が、


「ちょっと顔近づけて」


 と言う。


 僕が躊躇いがちに顔を持っていくと、次の瞬間、佳久子が口付けした。


 四十代女性と行為をするのは初めてだったし、僕は相変わらず惑っていたのだが、一連の行為とキスまですることで佳久子もすっかり満たされたらしい。

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