素直に
第2章
     2
 カフェに入っていくと、中には学生がたくさんいた。


 ほとんどの人たちが皆、コーヒーを一杯だけ頼んで、飲みながら話している。


 僕が窓際の席に陣取り、座ると、慧子が、


「栄司、何にする?」


 と言ってきた。


 僕がメニューを身ながら、


「じゃあ、このチーズケーキとホットコーヒーのセット。……君は?」


 と訊いてみる。


「あたしはそうね……じゃあ、苺のショートケーキにホットコーヒー」


「じゃあ、頼んでくるね」


「ありがとう」


 秋光大のカフェはウエイターが来るわけじゃなくて、出入り口で食券代わりのチケットを買い、それをカウンター越しに店員に渡す仕組みになっていた。
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