素直に
 接する異性が若い方が普通はいいだろう。


 でも考えると、結局一番いいのは、異性の年齢でも付いている肩書きでも何でもなく、ただ純粋に愛せるということだと思える。


 そういった場合、若いとか加齢しているなど、考える必要性がまるでない。


 単に僕は慧子が好きで、たまたま佳久子から誘われる形を伴って、強制される形で行為をしてしまった。


 ただ、それだけである。


 僕は研究棟を出て、秋めいた街を歩き出す。


 通りには枯れた木の葉などが落ちていた。


 僕自身、またあのシーンがまだ脳裏に甦(よみがえ)り、頻りに気になっている。


 佳久子のあの様相を思い浮かべるだけで。


 そして僕自身、その挑発的な行為に応じてしまったことも。


 僕は不意にケータイを取り出して、フリップを開き、着信を見始める。


 慧子から連絡が来ていた。
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