素直に
第15章
     15
「無理したの?」


「うん、ちょっとね。レポート提出しないといけない講義受けてるから、それ書くのに徹夜しちゃって」


「疲れたときはゆっくり休んで。どうしても君は無茶するんだからな」


「まあ、それは確かにそうなんだけどね……」


 確かに慧子の言うことは分かる。


 科目によってはレポートの提出を義務付けられるものもあり、出さなかった場合、単位を落としてしまうからだ。


 一番悲惨なのは、就職先や進学先の院が決まっていても、単位を一つ落としてしまったことで卒業できずに、内定取り消しや進学自体一年先延ばしになってしまうことだった。


 僕たちの学部学科の先輩にそういう人がいたので、尚更気を付けている。


 おそらく慧子は朝方ぐらいまで掛かって、必要なレポートをパソコンで打ち、教官のメアド宛にメールで送信したのだろう。


 いくら若くても、一番季節の変化が激しいときに、無理するとまずい。

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