素直に
 そして休むといけないと思ったのだろう、風邪気味のまま講義に出席したようだ。


 僕はその日の夜、彼女の傍にいて、一緒のベッドに眠った。


 風邪薬は飲むと眠気が差すので、慧子は朝までぐっすりのようだ。


 僕も丸々一晩、熟睡した。


 朝起き出すと、彼女が、


「栄司、だいぶ調子がいいわ」


 と言う。


 どうやら一夜眠ったことで、風邪はほとんど治ってしまったらしい。


 やはり冷え込む季節は学生も講義に出たがらない。


 僕も慧子も三年間大学に在籍しているので、そういったことが分かっていた。


 秋光大はキャンパス内で、正門から向かって右側に理系の研究棟、左側に文系の研究棟がある。


 学生の人数が多いので、キャンパスの中は常に込んでいた。


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