素直に
「出席カード、出しててくれる?」


「うん。君の学生番号、ケータイに付いてるメモ帳に打ってたから安心して」


「じゃあ、今日はあたし、ズル休みしちゃおう」


「ゆっくり寝てなよ。君も普段から忙しくしてるんだし」


「分かった。もし学校に来れそうなときがあったら、メールするわ」


「じゃあ、歯磨いて洗顔まで済ませてから行くよ」


「うん。あたし、しばらく寝てるから」


 慧子がそう言い、ベッドに横になる。


 僕は洗面台へと歩き始めた。


 コップに差してある歯ブラシに歯磨き粉を付けて、口の中を綺麗にする。


 ふっと思い出した。


 先輩の市丸さんのことを、だ。


 あの人は普通にドイツ語を喋れるし、確か慧子も、市丸さんのようにどこかでドイツ語
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