ギブ・ミー・ヘブン
「これ一回乗ってみたかったんだよね。」

嵐が嬉しそうな顔をして上を見上げている。

「私も初めて。」

チケットを券売機で買って乗り込む時、写真を撮られた。
誰であろうと撮られる決まりらしい。
降りるときに買うか買わないかを決めるんだそうだ。


「伊織ちゃんは写真うつり悪そう。オレが隣だからね。」

笑いながら嵐は乗り込んで私の手を引いた。

観覧車は少しずつ上へ上へとあがっていく。

「ここからの景色見たら俺らってちっぽけだって思わされるよね。」

「ありきたりっぽい台詞だね。」


私が苦笑する。
嵐は無邪気に笑う。
雄一の事を考えずに過ごす時間は心地よかった。




その時ふと嵐と目が合った。





嵐の瞳に吸い込まれる。




観覧車はいつの間にか一番高いところまで上がっていた。







うるさいほどのネオンとちらつく雪で



街の中はキラキラ輝いて本当にキレイだ。








笑顔の合間に見せた素顔。嵐の瞳は寂しそうだった。
瞳の奥は真っ暗で空っぽでどこまでも深くて―
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