ギブ・ミー・ヘブン
私に渡そうとした指輪をテーブルに置いて、雄一は言った。


「伊織。

ごめんな。」


そう言って、嵐に頭を下げて部屋を出て行った。



「ゆ・・・っ・・・・・」


追いかけようとして


体が前に出ようとした時



嵐が止めた。



「だめ。」




わかっている。

雄一も私も幸せになれないのだ。

その場で手を取り合えなかった時

答えは出ていたのに。


お互いに臆病で先延ばしにしていた。



嵐が私を引き寄せて


「恋のお葬式完了。」



と言って私の頭を撫でると
ダムが決壊したように涙があふれ出た。
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