ギブ・ミー・ヘブン
嵐が足を止めた先は一軒のバーだった。

「伊織ちゃん、バーに行ったことある?」

「ないことはないけど。」


嵐に手を引かれて入った店は、R&Bやソウルの流れるセンスのいいバーだった。

カウンターに座ると、髭のよく似合うお兄さんが

「何にします?」

と聞くので、嵐に言った。

「私にカクテル選んで」

と。


嵐は少し考えて言った。

「BETWEEN-THE-SHEETSかな。」

バーテンダーのお兄さんは笑って

「ずいぶんわかり易い誘い方じゃない?」

と言って私を見ながらこう言った。


「ちょっとエッチな意味なんだよね。【寝床で】って意味。」


思わず嵐の肩を叩いた。


「彼女は何を嵐くんに選んであげるの?」

バーテンダーのお兄さんに聞かれて戸惑いながらも

「BLUE DEVILください」


嵐は目を丸くして

「ひどい・・・。」

と苦笑した。

その時

「嵐さんお疲れっす!」





振り向いた先にいたのは私の初回で席についた蓮くんだった。
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