ギブ・ミー・ヘブン
「伊織ちゃん気づいた?さっき。」

シャワーから上がるなり、嵐が口を開いた。

「何?」

もういつもどおりの嵐に戻っている。

「昨日の客、伊織ちゃんの家の前にいた。」


「なにそれ。」

冗談にしては嵐の顔が怖い。

「何日か前から伊織ちゃんのアパートの周りで見かけてたんだ。昨日の客」

だから嵐は休みなのに来てくれたんだとすぐにわかった。


「・・・ありがとう」


「だって、この朝っぱらから何日もジトーっと伊織ちゃんち見つめてる奴がいたら時間帯からしても客だろ。客でもないリーマンなら顔洗ってる時間だし。」


嵐は床にごろりと転がった。



「俺の本当の名前は暁(アキ)だよ。」





「なんで今更名前・・・。」

思わず口から出てしまった。



「一緒に居るときに嵐って呼ばれるの嫌になったんだ。ホストの名前だからそれ。」




嵐じゃなく暁。


不思議だった。



「いーおーりー、俺はね今何歳だと思う?」



そういえば歳を知らない。



「え、何歳?」


「来月で21歳。」


驚きで声も出ない。



そんな私を嵐は抱き上げた。


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