どうして、そんなに




「ごめん。覚えてないや」



「…そっか。俺の事嫌い?」



「そうじゃないよ。そうじゃないけど…」



ダメなんだ。



ごめんね、哲。



「衣里は、何を抱えてるの?」



「えッ?」



「なんか言えないことあるんでしょ?」



「そんなの…ないよ」



哲は鋭いね。



でも話せないよ。



話したら、もう哲と居れなくなる。



「嘘つくな。何があったんだ?俺には言えない?」



「…何もないから」



「俺じゃそれは癒せないの?」



…分からない。



でも話すことは出来ない。



それは絶対。
< 13 / 95 >

この作品をシェア

pagetop