どうして、そんなに
「衣里、席離れちゃったね」
靖花がショックーと言いながら、席に着いた。
靖花の席は、廊下側から2列目。
あたしの席は、窓側から2列目。
ふぅと息を吐いて席に着くと、机の上においてあったプリントを落としてしまった。
「あ…」
「はい」
隣の男の子がプリントを拾ってくれた。
「ありがとうございます」
「いえ」
これが、彼との最初の会話だった。
思ったより低い声に、なぜだか安心を感じたのを覚えている。
今思えば、これが恋の予兆だったんだね。
「衣里ーーー!!」
無事始業式も終わり、靖花があたしの席にやってきた。
「靖花、離れちゃって残念だね」
「うん。でも衣里は良かったね」
え…何が?