どうして、そんなに
「衣里が死んだら、悲しむ人たくさん居る。そういうこと考えたか?」
「考えないよ。だってそんな人いないもん」
いないよ。
あたしが死んだって、誰も悲しまない。
「衣里は何にも分かってない。衣里が居なくなって悲しむ人はいっぱいいるよ?」
「……誰?」
「お母さんお父さん、兄弟、おじいちゃんおばあちゃん、友達、俺」
「そんなの。少しだけじゃん」
「少しでも、悲しむ人がいるんだよ?衣里はお母さん達を悲しませたいの?」
お母さん。
あたしがどんなにひどい目にあっても、助けてくれた。
殺人者の母親扱いされても、あたしを責めなかった。
お母さん……ごめんなさい。
たくさん迷惑かけて、ごめんなさい。
「衣里、目を覚ませ。死ぬのは間違ってる」