どうして、そんなに
「…なんで哲はそんなに止めるの?」
あたしの言葉に、哲は空を見上げた。
何かを懐かしむかのように。
そして、何かを思い出すかのように。
深く息を吐いて、あたしを見つめた。
「……俺の弟は、自殺した」
今のは聞き間違いだよね?
自殺だなんて、そんな……
「いじめられててさ。結局、敵に立ち向かえなかったんだ」
哲はまた空を見上げた。
「こんな日だった。悠志が死んだのは。あいつバカだよな…死ぬなんて。もう誰にも一生会えないんだぞ?ほんと、バカ」
あたしも空を見上げる。
なんだか空を見ると、自分の悩みがちっぽけに感じる。
あたしどうして死のうとした?
「哲……ごめんなさい」
「謝んなくていーよ。分かればいい」
「…ありがとう」