どうして、そんなに




先崎が指差したのは、レストランだった。



「うん。いいよ」



先崎の言葉が気になりつつ、入る。



あの時って何だろう……



席について、それぞれ飲み物を頼む。



「先崎、あの時って?」



「あぁ。美里が死んだとき。お前のことちゃんと守れなかった」



美里が死んだとき…



「そんなことないよ。守ってくれたよ?」



「全然守れてねーよ。最終的には俺、お前のこと離したし」



そんなの。



当たり前だよ。



「しょうがないよ。だってあたしが美里を苦しめた。殺した」



こんな奴が彼女だったらいやだもんね。



「そんなこと言ったら、俺だって美里を苦しめた。殺したよ」



悲しそうに遠くを見る、先崎。



先崎は悪くないよ。



あたしが悪いの。
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