どうして、そんなに




3階について、302号室まで来た。



息を落ち着かせて、コンコンとノックをした。



ガチャ



部屋からは綺麗な女の人。



「もしかして、あなたが衣里ちゃん?」



「あ、はい。仁科衣里です」



「初めまして、哲の姉の紫(ゆかり)です。どうぞ、入って」



お姉さんの後に続き、部屋に入る。



ベッドには、痛々しい姿の哲。



「交通事故だって。飲酒運転で、信号に気づいてなかったみたい」



「そうなんですか…あの、怪我とかは」



「命に別状はないわ。ただ……」



「ただ?」



「頭を強く打ったみたいで、記憶に障害が出るかもって」



記憶に障害?!



それって……
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