どうして、そんなに
第三章
哲の記憶
「あ、衣里ちゃん。ちゃんと来てくれたんだね」
次の日の午前中。
病院に行くと、哲のお姉さんがいた。
「はい。約束したので…」
「そっか」
お姉さんは呟くと哲を見た。
まだ目は覚めてないみたいだった。
凄くどきどきする。
哲はちゃんと覚えててくれるのかな?
「衣里ちゃん、あたし飲み物買ってくるから、ここに居てくれる?」
「はい」
コクンと頷くと、お姉さんは笑って、部屋を出て行った。
ベッドの近くの椅子に座り、そっと哲の手を握る。
早く哲と話したいよ。
ぎゅっと握ってる手に力を込める。
すると、哲の目がゆっくりと開いた。