どうして、そんなに




「分かるの?あたしのこと」



「当たり前、だろ?」



呼吸器を外し、さっきよりはっきりと話す。



あたしはホッとして、その場に座り込んでしまった。



「衣里ちゃん!?」



「あ、すいません。ホッとしたらつい……」



お姉さんに手を借りて、立ち上がる。



哲の記憶が無くならなくて良かった。



ちゃんとお姉さんのこと覚えてて良かった。



本当に、本当に良かった。



「お姉さん、良かったです」



「うん」



「本当に、良かったです」



「うん。ありがとうね、衣里ちゃん」



涙が止まらなかった。



お姉さん、あたしにありがとうじゃないよ?



神様にありがとうだよ。
< 93 / 95 >

この作品をシェア

pagetop