どうして、そんなに
「分かるの?あたしのこと」
「当たり前、だろ?」
呼吸器を外し、さっきよりはっきりと話す。
あたしはホッとして、その場に座り込んでしまった。
「衣里ちゃん!?」
「あ、すいません。ホッとしたらつい……」
お姉さんに手を借りて、立ち上がる。
哲の記憶が無くならなくて良かった。
ちゃんとお姉さんのこと覚えてて良かった。
本当に、本当に良かった。
「お姉さん、良かったです」
「うん」
「本当に、良かったです」
「うん。ありがとうね、衣里ちゃん」
涙が止まらなかった。
お姉さん、あたしにありがとうじゃないよ?
神様にありがとうだよ。