どうして、そんなに




「あ、そういえば」



お姉さんは、自分の手からあたしに、ジュースを渡した。



「これ、買ってきたやつ。それ飲んでて待ってて、衣里ちゃん」



「え?どこ行くんですか?」



「先生に伝えてくる。哲が目を覚ましたこと」



「あ、はい」



“すぐ戻るから”



お姉さんは嬉しそうに笑って、部屋を出て行った。



さっきの笑顔とは、違うな。



やっぱりお姉さんもホッとしたんだよね。



なんて考えていると、哲に話しかけられた。



「あのさ……」



「ん?」



「あの……」



もごもごしてはっきりしない哲。



「どうしたの?」



「あの……悪いんだけど、あなた誰ですか?」



え?
< 94 / 95 >

この作品をシェア

pagetop