桜色の片想い
ラストチャンス
私が彼を好きになったことに、大した理由はない。




それ以前に、人間を好きになることに理由を作る必要はないと思う。



強いて言うと、彼がすることなすこと、私の憧れだからだ。



四年前、私が授業中に足を痛め、


保健室に氷を取りに行こうとしていた時、東藤が


「保健室、いくの?」



と、声をかけてくれた。



「え…うん。

ちょっとくじいたみたいで…」




「えっ!?

けが人が歩いたらダメだよ!


ちょっと先生に頼んでシップと氷貰ってくる!」




そう言うと、東藤は保健室に行き、


バケツに氷水を入れ、


手にシップを持って、体育館に戻ってきた。




そのことには体育の先生も感心していた。




この一件で、私は彼のことを無視できなくなったのだ。




その後、私なりに東藤のことについて話を聞いた。




東藤は頭がいい。それにクラスでも盛り上げ役となる存在である。




これは、同じクラスの私自身がよく知っている。




これが恋愛感情だと確信したのは高校生になってからだったのだが。
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