ヤンデレ
「ただいま」



 帰って来たのは学校の制服であろうグレーのブレザーに身を包んだ少年であった。背は高くも低くもなく、かといって体系も普通のどこにでもいそうな高校生だ。



「お帰りなさーい!ご主人様ー!」



 フィーは少年が帰ってくるのと同時に少年の腕にしがみついてくる。彼女の魅力的なスタイルを彼の身体に当てて誘惑しているようにも見える。



「うわっ!ちょっとフィー!やめてよ!」



 少年は顔を真っ赤にしてしがみついているフィーを引き剥がす。彼女は勢いのあまり床に投げられるように叩きつけられた。



「ご主人様……。私のこと愛していないのですか?私のこともうどうでもよくなっちゃったんですか?」



 フィーは目を潤ませながら少年に訴えかける。彼女は、一応猫であるがネコミミを付けた少女といっても差し支えない程である。下手すればどこかのコスプレしているようにも見えてしまう。



「い、いや……。そんなことを言ってるわけじゃなくて……」



「ご主人様、私のこともう飽きられてしまったのね。お母様の猛烈な反対を押し切ったあの時の素晴らしい情熱はもう微塵も私に向けられていないのですね……」



 完全に言いくるめられてしまった少年は、結局彼女に向かって手を差し出す。
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