ヤンデレ
「痛かっただろ?ごめん。ほら」



 それを見たフィーは可愛らしい笑顔を見せてもう一度彼の腕に抱きついた。



「やっぱりご主人様大好き!」



 とても歩きにくそうにして二人は少年の部屋へと向かう。家の通路は決して広くはない。大の人間が二人横にして歩いてしまえば、もう通り抜ける幅はない。



 普通に歩くよりも数倍の時間をかけて二人は少年の部屋にたどり着いた。少年はやれやれと言った表情でベッドに飛び乗って横になる。



「今日も学校はどうでしたか?いじめられてなんかいませんか?」



「大丈夫だよ。僕なんかをいじめたって得をする奴なんて誰もいないよ。今日も平和で平凡な日々だった。あーあ、何か面白いこと起きないかなあ?」



「……ご主人様は私とであったことを面白いとは思ってなかったのですか?」



 ベッドの下からじーっと睨むフィーはやはり本物の猫のような鋭い目つきでこちらを睨んでいる。



「そりゃ、フィーに会えたのは良かったと思えるよ。辛い時や悲しい時にそばにいてくれるのはすっごく嬉しいし、勇気が貰える。だからフィーと出会えたのは良かったと思ってるよ」


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