ヤンデレ

「一条…なつき」



　僕はその名前が自然と口から出てきた。そうご主人様がお風呂でいない間に携帯電話の電話帳で名前を見つけたんだっけ。そう言えば、メールもいっぱい来てたっけ。ほかのフォルダにはほとんどないメールでも彼女のフォルダだけいっぱい入っていた。



　――あの人がご主人様の恋人？そうだよね。ご主人様は、人間。あいつも人間。僕とは違う存在……。でも……。



　頭では受け入れようとしつつも、心はそれを拒否している。拒絶している。



　ふらふらの頭のまま僕は家に戻って行った。