【BL】最期の願い
次の日
本当に彼は来た
いろいろな話をした
彼は……翼は、僕と同じ年でここから1番近い高校に通っているらしい
部活はバスケ部で
その試合中にケガをして、入院しているんだと言った
いつも中庭で読んでいた本はバスケの本らしい
体を動かせないからな、と笑っていた
「ねぇ翼」
「ん?」
「なんで昨日来たの?」
「あぁ」
ずっと気になっていたことだった。
昨日、翼が帰った後も、朝、起きて翼が来るまでも。
そうしたらそんなとこか、と彼は苦笑していた。
「お前さ、ずっと見てただろ」
やっぱり
気づかれてた
それなら嘘を言う気もない
「うん」
「俺もさ、見てたから」
いつも窓から外を眺めてて
だけど出てこようとはしない
どんな奴なんだろう
「って気になってたんだ」
「僕も、気になってた。
毎日中庭で本を読んでる人」
「でさ、昨日、目があって
チャンスだって思ったんだ」
楽しい時間というものはあっという間に過ぎてしまう。
「また明日も来るな」
そう言って翼は出て行った。
"また明日"
その言葉が新鮮でくすぐったい