愛情狂現





そして私たちは16歳になった。




中学はほとんど行ってない。




高校を受験しなかったのは秋が、私が外の世界に興味を持つことを咎めたから。




田舎の端っこの街だからあまりそれを気にする人はいなかったし、死んだんじゃないかなんて噂まで流れた。




母親と父親がどうなったのか、今は思い出せないけれど。



なんとなく、この世にいないことだけは感じていた。




もともと近所付き合いは悪いし、ほとんど家にも帰ってきてなかったから不審にも思われなかったらしい。




秋なんか最初から腫れものに触るように接されてきたから尚更だ。




「ただいま、春」




噂をすればなんとやら。



買出しに出かけていた秋が帰ってきた。




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