愛情狂現
秋の束縛は歳を重ねるごとに強いものに変わっていった。
「大丈夫だった?誰も来てない?」
「うん。誰も来てないよ」
私がそう言うと、秋はやっと安堵の表情を浮かべた。
このまま何事もなく暮らしていければいい。
秋の外出中は手錠をつけなきゃいけないけど、暴力を振るわれることはない。
私はこれで満足だった。
あの頃の幸せを忘れれば不満は感じない。
大好きだったあの人の顔も―――
今ではすっかり思い出せない。
それが幸せなのかはもうわからないけど。