愛情狂現
「え、あ、私…っ」
「でも、ちゃんと約束してね」
秋は微笑みながら私の髪をなでる。
優しく、優しく。
ゾッとするほど穏やかな仕草で。
「僕のコト、悲しませたら厭だよ?」
そう言って私の頬に軽くキスをした。
秋が軽い足取りでキッチンに戻っていく。
私はただそれを見つめていることしかできない。
何度見てもやっぱり怖い。
秋のあの笑顔が、私は一番苦手だ。
蛇に睨まれた蛙って感じか。
とにかく秋にあの笑顔を向けられると動けなくなる。