愛情狂現
私は幼い頃から両親に虐待されていた。
そして酷い虐待に耐えられないと判断した自己救済人格、つまり『秋』は、精神的に危険な時のみ私を昏睡状態にした。
そうして私は自分を守ってくれる双子の兄『秋』を宿した、多重人格になったのだ。
その後虐待に気付いた児童養護施設が救出に来た時、すでに秋は両親を殺していた……ということになっているらしい。
両親を殺害した後パニックになった私が秋を呼び起こしたのだ。
しかし、それは私の交代人格がしたことであって私がしたことではないため罪は問われない。
本当は私が殺したのにね。
法律っていうのはたまに、事実を覆い隠す毛布のようなものにもなってしまう。
先生はそう嘆いた。