愛情狂現
頭をよぎるのは子供みたいに無邪気な秋の笑顔と、
大人びた表情で私の髪をなでる涼くんの姿……
「あ、私」
喉が枯れる。
口の中がカラカラに乾いて、舌がもつれる。
言葉が出てこない。
「長谷川君のこと、嫌いじゃない」
でも、
「ごめん……」
長谷川君の気持ちには応えられない。
だって世界が違うから。
汚れてしまった私に、長谷川君は眩しすぎる。
触れたりしたらきっと溶けて消えてしまう。
炉心融解みたいに。