愛情狂現






家に帰った私を待っていたのは、決壊した秋だった。




「遅かったね。ボーナスは楽しかった?」




「ぼぉ、なす?」




秋の言う意味がわからない。




ボーナス。



賞与・特別手当・割増金。



またはご褒美。




単語自体の意味はわかる。




だけど今この場所でその言葉が出る意味がわからなかった。




「どういうこと……?」




恐る恐る尋ねると、秋はいつもと変わらぬ壊れた笑みを浮かべて言った。




「そのままの意味だよ。今までイイ子にしてた春へのご褒美」




ソファーに座っていた秋が立ちあがって私に近付く。




< 30 / 216 >

この作品をシェア

pagetop