愛情狂現





意外に大きい彼の手を素直に受け止めながら、私は思案する。





さっきのはやっぱり夢だったのかな……





それにしても嫌な夢だった。





寒いし、怖いし、痛いし。





私の嫌いなモノが全て揃っている世界だった。





頬を流れる涙さえ冷たく感じた。





でも今は暖かいコーヒーに、優しい秋もいる。





もう何も怖くない。





大丈夫、大丈夫、大丈夫……。





自分に言い聞かせるように反芻して、私は目を閉じた。






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