忘れない、温もりを
一瞬、
僕は遠いところへと

意識を持っていかれた。








それが君。




白いワンピースが揺れていた。
黒い君の髪は、
太陽が照らし

ワインレッドに光った。


ヒールの高いミュールを
少しリズム悪く運んでいた。




立ち止まった君は
足元を気にした。

何か見えたのかな…



君はまた歩きだす
でも、

君はガードレールに腰掛けた。



右足を伸ばし、
訝しげに
その先端を見つめ

空を見上げた。



天を仰いだそのとき
君の横顔が見えた。


白い肌

少し赤らんだ頬


哀しげな眼差し。


首元に手を持っていった君は、
髪の毛をサラリと
風に乗せた。




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