忘れない、温もりを
「俺、仁(ジン)ゆうねん。ハタチで、仕事は…」

口籠もる彼、仁。

「仕事は?」

…………


「何でもええやん」
ニカっと笑った。
「プータローね?」
そい言うあたしに、苦笑いして
「そんなもんやな」
と言った。



「あたしは、ひなた。じゅーろくさい」


仁の目が見開いた気がした。

「16って…女子高生?」

「そうだけど?…見えない?」


目の前にある2つのグラスが汗をかいてる。
あたしはそれを、
おしぼりで拭きながら
仁を見上げた。



「真面目?」
「嘘つく意味なくない?」

あたかも信じられないといった面持ちの仁が、
すごくおかしかった。



「そおなん?」
「うん」






「タメか上かと思った…」
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