忘れない、温もりを
びっくり。
…というか

「めっちゃ失礼だよ〜」


突飛すぎる仁が笑えた。
あたしが20とかそこら?

ありえないでしょ。



「いや、リアルに!」

ありがとう、と拭き終わったグラスをあたしから受け取ると
口に運んだ。


「ほら、こうゆうとこ」

「え?」

「普通にグラス拭くから、お水の姉ちゃんかと思ったわ」



汗ひとつかいていない、
2つのグラスが目に留まった。

そして仁。


「お水?あたしがぁ?」

ふと頭に和服姿に髪を結いあげた自分の姿が浮かんだ。
背中には虎と龍。


…って極道じゃん!



そんな妄想をしていると、つい吹き出してしまった。

「なんや自分!」
仁もつられて笑った。




「でもッ…マジで16だよ?あたし」
笑いすぎてお腹痛い




「なんや、手ぇ出されへんやん」

「出さなきゃいいんだよ〜」
バカだなあ、とまだ笑いが止められないあたし。


「せやなぁ…」
そう言った仁が
薄く苦笑いを浮かべた。




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