雪の降る街
第一章
「只今、2番線ホームに羽田行き電車が参ります」
雪が降った。
遅い雪だった。
2月の寒い冬の日。
あたし・・・島村美樹は地元、札幌に帰ろうとしていた。
4年前のこの季節。
大学進学のため、上京。
期待で胸がいっぱいだった。
大学では勉強して、友達もたくさん作って・・・社会人になるときにはデザイナーになっていようと思っていた。
東京で生きていく予定だった。
でも現実はちがって、友達も田舎から出てきたあたしはあの派手な雰囲気についていけなかった。
勉強も難しかったし、デザイナーとしての夢も見えなくなっていた。
何のために東京に出てきたんだろうか。
札幌で持っていたものをすべて振り切ってきたのに。