王子に恋して



―4月下旬―

「じゃあ羽美、また明日ね!」

「ばいばい、汐里ちゃん!」


羽美の家は汐里の家の一駅先にあるので、
いつも行きは汐里の最寄り駅で待ち合わせ、
帰りはその駅で別れる。


いつも通り、汐里の最寄り駅で別れ、1人で電車に乗っていると、
ポケットに入れてある携帯が2、3回震えた。


羽美がお気に入りのピンクの携帯を開いて見ると、
母からのメールが来ていた。


そこには、

"帰りに醤油買って来て♪"

と書いてあったので、
電車を降りて、駅前通りにある小さなスーパーで買おうと、中に入った。


お目当ての醤油を探しに調味料売り場に行くと、
なんとそこには…


王子こと、南野稜太がいたのだ。


これが、羽美が稜太を初めて見た瞬間だった。



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