また君に…
お世辞を聞くたびに、胸が痛くなる。
「お世辞はいいよ。後、敬語も。普通に話しかけて。ちなみに、名前は美優」
すると、みんなは一瞬固まり、笑いだした。
「よろしくね、美優」
「よろしく~!」
などと、色んな言葉をくれた。
「美優、行くぞ?」
悠に手を握られ、奥の扉に向かった。
「総長にはマジで気を付けろよ。……中には女達が沢山いるけど…。まぁ、気を付けろ」
……。
なんか…どーでもよくなってません?
悠は私の手を握り、ドアを開けた。
刹那、女達の甘い声、笑い声、香水の匂い、煙草の匂い、何処かで聞いた事のある洋楽、…とにかく、色んな音や匂いで、頭がゴチャゴチャになりそうだった。
「……おい」
悠が声を掛けるが、ウザい洋楽のせいで、誰も気づかない。
沢山のケバイ女達の中に囲まれてる超美形男。
髪は黒い髪に金のメッシュに、人と違うどこか異様な、オーラー。
そして…。
胸には…見覚えのある……ネックレス。
ドクッ
不覚に胸がざわめく。
「ねぇ。キスしてぇ」
「ん?」
その男は簡単に見た事もないキスをする。
女の口から、甘い声が漏れる。
「あたしにもぉ~」
その男は、女から口を外し他の女にキスをした。
……吐き気がする。
思わず悠の後ろに隠れる。