真夏の白昼夢
「場所を変える。ついて来い」
「えー…」
ヒマだからいいけどさ。
石倉くんはすたすた歩く。早すぎる。
ついた先は緑の多い公園だった。人はまったくいない。
「お前、なんで透明人間なんかになってんの」
「さぁ…起きたら透明だった。ものが触れなくて困ってるの。治らないかな」
「いいな、透明人間」
「便利だけど寂しいよ。だれも見てくれないのは」
存在を認められていないみたいで…。
「音川は、夏休みの宿題やった?」
透明人間から離れた話題。
「まだ」
「早くやれよ」
「そうだね。でも、それよりもやりたいことがあるの」
「なに?」
「花火やること!」
「いつかやるの?」
「予定は未定なのです」
でも是非やりたい。
友達とやる約束はしたから、夏休み中にやると思う。