真夏の白昼夢
「透明人間のままじゃ持てないから花火できないな」
「うーん、早く治ればいいんだけど」
そういうところが不便だよねー。
「あ、なんかメール来てる」
石倉くんはケータイを開けた。私はケータイもなにもかも持てないから、手持ちぶたさだ。
「メルマガだった」
「あるある」
「で、これからどうすんの」
「透明人間を治せる人に会おうと思う」
「そんなアテあるわけ?」
「ないから探す」
私のめちゃくちゃな予定を聞いて石倉はため息をついた。幸せ逃がしたな。
「…俺の家、寺なんだ」
「へぇ」
噂には聞いていたけど。
あ、お寺関係の力がはたらいて石倉くんは透明人間の私が見えたのか?
「怪異系ならお祓いできるけど、透明人間ってそういうのか?」
「なにもわからない」
「治りそうになければ、俺のとこに来いよ」
「お願いします」
そう言って、私は石倉くんとわかれた。