真夏の白昼夢
現実

歩いて


歩いて


歩いたけど。



石倉くんのほかに私を見つけてくれる人などいなかった。


「ふぅ…」


普通、透明人間になったら、
そのの間に透明人間だけにしかできないことをする。

と思うけど、案外、そんなことはない。


戻らなかったらどうしようという不安が大きすぎて楽観的になれないのだ。


「…あーあ」


まだまだ日は長い。
お昼を少し過ぎたくらいだ。


「お腹すかないから、なにも食べなくていいや」

どうせ、なにも持てないだろうし。


「……」

しかし、休憩はしたいので電気店に入ってテレビ売り場にしゃがみ込む。

おもしろい番組でもやってないかなーと眺めているとニュースがやっていた。


『近頃、事故が多発していますね』

『はい、皆さん注意をお願いします』


事故…、透明なら事故すらしない。安全だ。
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