ストロベリーフィールド
「お前ら怪しい感じ醸し出してたな」

翔は私たちをからかうように言った。

「何言ってんの。和希には葉月がいるんだから」

「わかんねーぞ、和希は女なら見境ないからな」

「だねー」

私が翔の言葉に賛同すると、和希は呆れ顔で言った。

「バーカ。俺にも"好み"ってのがあんだよ。だいたい、彩は女だと思ってねーから」

そう言われ、くだらない言い争いをする和希と私を、翔は笑いながら見ていた。

翔があんなに笑うのを見たのは、この時が初めてで
こんなに素敵な笑顔をするんだと、少し嬉しくなった。


しばらくすると、教室に人が戻り始めた。
私はポケットにある携帯を開いた。
画面には"受診メールあり"の文字。

<<ごめん! 残業になるから、今日は行けない。 啓太>>

私はため息を付くと、すぐに返信した。

<<いいよ。 仕事頑張ってね 彩>>

横にいた和希は、どうした?と、私の顔を覗き込んだ。
なんでもないと微笑むと、和希は私の頭に手をポンと置き、微笑んだ。


啓太とは付き合って1年になる。
仕事が一番で、デートのドタキャンなんてしょっちゅう。
だから慣れてるはずなのに、もう一ヵ月会ってないから、正直寂しい。

だけど、仕事だと言われたら責めることもできない。

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