ストロベリーフィールド
花火大会当日、街は浴衣姿の人で溢れていた。
そして私も、この日の為に買った浴衣を着た。
だけど、朝から連絡の取れない啓太に不安を感じ、気持ちは晴れない。
待ち合わせ場所へと向う途中、何度も電話をしてみたけれど、呼出し音も鳴らずに留守番電話に切り替わる。
嫌な予感を感じながら、目の前を幸せそうに歩いていくカップル達を見ていた。
日が暮れて、辺りが暗闇に包まれる頃、ケータイがチカチカと光り出した。
「もしもし」
「彩、ごめん――」
「え?なに?聞こえない」
周りの騒音に耳を塞ぎながら、啓太に聞いた。
「ごめん、どうしても外せない用事があって、行けそうにない」
啓太は少し大きな声で言った。
私は何も言えなかった。
ずっとこの日を楽しみにしていたのに
啓太には簡単に諦められるような約束でしかなかったんだ。
そう思えてならなかった。
耳を塞ぐのをやめた右手には、ペアリングが輝いていた。
私は右手を空へとかざし、啓太に言った。
「もう、終わりにしよう?」
啓太の返事がないまま、私は話を続けた。
「私はね、好きな人には側にいてほしいし、いつでも"好き"って言われたいの。私は啓太のペースに合わせられる程、大人じゃないよ」
私の言葉に、啓太はゆっくりと話し出した。
「俺は…彩が最後の女だと思ってる。 だから、ペアリングもプレゼントした。 できる限り、一緒にいる時間も取ってきた。 だけど、それでも足りないなら、俺にはもうどうすることもできない」
きっと、私はすごくわがままなんだと思う。
啓太は精一杯の事をしてくれていた。
それなのに、私には全然足りなかった。
「ごめんなさい」
「謝るなよ。彩と過ごした時は、本当に楽しかったから」
啓太は最後まで、優しい声で話していた。
そして私は、ペアリングを外した。
そして私も、この日の為に買った浴衣を着た。
だけど、朝から連絡の取れない啓太に不安を感じ、気持ちは晴れない。
待ち合わせ場所へと向う途中、何度も電話をしてみたけれど、呼出し音も鳴らずに留守番電話に切り替わる。
嫌な予感を感じながら、目の前を幸せそうに歩いていくカップル達を見ていた。
日が暮れて、辺りが暗闇に包まれる頃、ケータイがチカチカと光り出した。
「もしもし」
「彩、ごめん――」
「え?なに?聞こえない」
周りの騒音に耳を塞ぎながら、啓太に聞いた。
「ごめん、どうしても外せない用事があって、行けそうにない」
啓太は少し大きな声で言った。
私は何も言えなかった。
ずっとこの日を楽しみにしていたのに
啓太には簡単に諦められるような約束でしかなかったんだ。
そう思えてならなかった。
耳を塞ぐのをやめた右手には、ペアリングが輝いていた。
私は右手を空へとかざし、啓太に言った。
「もう、終わりにしよう?」
啓太の返事がないまま、私は話を続けた。
「私はね、好きな人には側にいてほしいし、いつでも"好き"って言われたいの。私は啓太のペースに合わせられる程、大人じゃないよ」
私の言葉に、啓太はゆっくりと話し出した。
「俺は…彩が最後の女だと思ってる。 だから、ペアリングもプレゼントした。 できる限り、一緒にいる時間も取ってきた。 だけど、それでも足りないなら、俺にはもうどうすることもできない」
きっと、私はすごくわがままなんだと思う。
啓太は精一杯の事をしてくれていた。
それなのに、私には全然足りなかった。
「ごめんなさい」
「謝るなよ。彩と過ごした時は、本当に楽しかったから」
啓太は最後まで、優しい声で話していた。
そして私は、ペアリングを外した。