ストロベリーフィールド
学校が終り、帰ろうとすると、翔に呼び止められた。

「和希知らねー?」

「もう帰ったよ。葉月とデートだって」

「はぁ?マジかよ」

翔の怒りの理由は、怖くて聞けなかった。
だけど、翔は和希の家に行くと言い、私たちは一緒に帰ることになった。


帰り道、私は啓太の事を考えていた。
ドタキャンされて、愛されてる実感もないのに、どうしてこんなに啓太を好きなんだろう。
別れてしまえば、こんなに寂しい想いもしないだろうし、もっともっと笑って過ごせるはずなのに…。

私の想いが啓太には届いていないような気がして、不安になったりもする。


「なんかあった?」

よっぽど暗い顔をしてたのか、翔は心配そうに私の顔を覗き込んだ。

「彼氏と上手くいってなくて」

私は啓太の事を話した。

「彼女のはずなのに、知らない事がいっぱいあって、ずっと片想いのままって感じなんだよね」

そう言うと、黙って聞いていた翔は、別れた方がいいんじゃねーの?と言った。

「そんな奴と一緒にいたって幸せになんかなれねーぞ」


翔の言葉に反応できなかった。



しばらく続いた沈黙の後、家の前に着き、立ち止まった。

「翔は…彼女いないの?」

私の言葉に、翔は一瞬驚きながら答えた。

「いない」

翔がぶっきらぼうに答えるから、聞いちゃいけなかったのかと、少し後悔した。

「そっか」

「じゃあな」

翔は足早に、和希の家へと向かって行った。
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