ストロベリーフィールド

家に帰ると服を着替え､和希にﾒｰﾙした｡

<<翔がなんか怒ってたよ｡ 家に行くって言ってたから､早く帰った方がいいかも｡ 彩>>

和希からの返信はすぐだった｡

<<お前怒らせたんだろ？ 正直に言ったら許してやるぞ｡ 和希>>

和希の憎たらしい笑顔が浮かんだ｡
子供染みてて思わずニヤけた｡

<<バーカ　彩>>


和希に返信すると､携帯をベッドにﾎﾟﾝと投げ､ﾘﾋﾞﾝｸﾞへと階段を下りた｡

机の上には千円札と置き手紙｡

「戸締まりはちゃんとしてね ママ」

この置き手紙でやっと､ママとパパは泊まりがけで出かけている事に気が付いた｡

私は慌てて部屋に戻り､啓太にﾒｰﾙした｡

<<今日､泊まりに行ってもいい？ 彩>>

送信してしばらく､携帯を握り締め､返信を待った｡

でも､いくら待ってもﾒｰﾙの着信音は鳴らなかった｡
時計の針が七時を指すと､私は諦めてコンビニへと向った｡

明るい店内に入り､ﾌｧｯｼｮﾝ誌をﾊﾟﾗﾊﾟﾗとめくった｡
それからお弁当とコーヒーを買って家へ戻るため､歩き出した｡


家の前の通りに差し掛かると､見覚えのある車が見えた｡
私の心には期待が込み上げ､気付けば走り出していた｡

徐々に近付く車のドアが開くと､私は声をあげた｡

「啓太！」

私は啓太に抱き付いた｡
本当に嬉しくて､涙が溢れた｡
啓太は呆れたように笑いながら､私の髪を撫でた｡